商品:半藤一利「決定版 日本のいちばん長い日」文春文庫
評価:☆☆☆☆☆
価格:640円(Kindle版)
松坂桃李主演で映画化された同名タイトルの原作。
最近日本の近代史にはまっており、本作の著者である半藤一利や、渡部昇一、保阪正康らの本を乱読しています。
その中で本書は1、2を争う良作。
ちなみに本書と甲乙つけがたいのが猪瀬直樹の「昭和16年夏の敗戦」。
石破茂元防衛大臣が、国会答弁で「防衛大臣は必ず読むべき!」と言及した作品で、徹底的な調査を元に日本の敗戦の真因に迫った力作です。
後に自分自身が文春に徹底的に調査されるとは思わなかったでしょうが・・・。
機会があればこちらも紹介します。
・・・と関係ない本の紹介が長くなりましたが、「日本のいちばん長い日」は、第二次世界大戦終戦直前の数日に焦点を当て、日本がどのように歴史的な日を迎えたかを書き上げた作品です。
国民のために終戦を決意する天皇陛下と、徹底抗戦を貫きクーデターを企てる軍部、部下に突き上げられながら軍部の暴発を押さえようと葛藤する陸軍大臣、飄々としながらも天皇陛下の意を汲み終戦へと導く首相など、当時それぞれの人達がそれぞれの立場でどのような行動をとったかが緊迫感を持って伝わってきます。
終戦前日にこれほど様々なドラマがあったとは全く知りませんでしたし、終戦というものが、割れた氷の上を渡るような極めて微妙なバランスの中でたどり着いたものであるということを初めて知りました。
もしピースが一つでもずれていれば今この日本は全く別の姿だったかもしれないと思うと感慨深いものがあります。
手に汗握る一級品のノンフィクションでありながら、戦後日本の原点を知る上での貴重な歴史の教科書でもあります。
ちなみに親父は映画も見ましたが、上映時間との兼ね合いからか映画は展開が早過ぎて、原作を読んでいた親父でさえついていくのに必死でした。
原作を見ていなければ状況が半分くらいしか理解できないと思いますので、これからDVD等を見る場合には、先に原作を読むことをお勧めします。
再読必死で☆5つ。